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今回「ウォッチマット」の制作を担うのは「クロコファンショップ・ガウディ」。クロコダイル製品を作り続けて25年の歴史を誇ります。
特徴の一つとして、親会社がクロコダイル革の輸入商社だと点が挙げられます。「堀内貿易」というその会社は1951年に創業、クロコダイル/アリゲーター/オーストリッチに特化した皮革商社として今は4代目に引き継がれている老舗です。日本のエキゾチックレザー業界を牽引した先駆者としてその実績は指折りであり、特にクロコダイルの取扱いでは国内最大手。日本に流通している「クロコダイル革」の70%以上のシェアを誇ります。
さらに、堀内貿易は原皮の輸入だけでなく、その皮の鞣し(なめし)も行います。鞣しとは、動物の皮から、腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品を用いて柔軟性・耐久性をもたせる加工のことです。これにより荒々しい野性味を維持していた「皮」が、レザー商品に採用できる繊細な「革」へと生まれ変わります。
この一連の工程を自社一貫で行える企業は世界中でも稀な存在です。およそ70年の間、日本の高い鞣製染色技術を世界に発信し続け、その品質の高さは『大手メゾンが革を買い付けに来る』ことで証明されています。
【補足】
「皮」から「革」へ。驚くほど細分化された工程があります。
塩漬けされた原皮が完成革になるまでには、おおよそ50〜60日かかります。
天然の原皮はその保存状態や鮮度によって1枚1枚違うものですので、鞣し、染色工程では、どのような皮にも対応できる長年の経験や高度な技術力や感性が必要になります。
《 「皮」が「革」へと生まれ変わる15工程 》
- 原皮:塩漬け状態で空輸
- 水漬:原皮の状態に戻す
- 裏打:皮の裏面の肉片や脂肪を取り除く
- 石灰漬:繊維をほぐして表面の鱗などを取り除く
- 脱灰:石灰漬の石灰を取り除く
- 浸酸:鞣し剤が浸透するように酸性度を調整する
- クロム鞣し:皮が腐らないように鞣す
- シェービング:革の厚さを一定にする
- 再鞣し:耐久性を強くする
- 染色:染料により染める
- 加脂:革を柔軟にする
- 乾燥:加脂剤を固着させる
- 艶塗り:革の銀面に艶剤を塗る
- 乾燥:艶剤を固着させる
- 仕上げ
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そんな最高級クロコダイルレザーの入手に困らない環境で、国内屈指の実積を積んできたのが「クロコファンショップ・ガウディ」です。その名前は、親会社である堀内貿易の仕入先で、ヨーロッパのスーパーブランドにも皮を供給するクロコダイルファーム(養殖場)のオーナー「Mr.Graham Gaudie」との絆に由来します。
ガウディの店主・南澤健一氏はクロコダイルの原産地であるパプアニューギニアで皮づくりの最上流から学びました。その経験から「本当に価値のあるクロコダイル革とは?」を深く理解しております。そしてガウディには、南澤氏の知見やセンスを形にする職人として「切り目製法」で日本一の技術を持つ比留間隆氏、代々エキゾチックレザー職人の家柄出身で「ヘリ返し製法」を得意とする小川佳宜氏が参加しています。
最高品質のクロコダイル革があれば最高のクロコアイテムが出来上がる、というわけではありません。感動的な製品が産み出されるためには、それぞれの工程に熟練の職人が必要なのは言うまでもなく、であれば必然、少数精鋭のチームが理想的です。それを今なお最先端で体現しているのがガウディという日本国内でも稀有な職人集団なのです。
【補足】
「切り目製法」
表と裏2枚の革を同じ長さにして接合し、ミシンがけをして、そのコバ(切断面)部分に着色をしたり、磨きをかけたりする仕上げ。
「ヘリ返し製法」
革と革が合わさる部分、外側の革を長めに残して、その部分を均等した幅で折り返し、包み込むようにする仕上げ。