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最後に、「ウォッチマット」に採用される『1級のポロサス』について、お話ししていきます。
ポロサスについては《別ページへのリンク》でもお話ししましたが、その中でも『1級』とはどういうものなのか?
ポロサスはそれだけでも極めてレアで高級な革素材です。当然、値段が高いのには理由があります。それは、その『美しさ』のためです。竹腑から丸腑に切り替わる箇所など、一度気づいてしまうと「これぞ正しくポロサス」と目が奪われるようになってしまうでしょう。実際、ポロサスはスモールクロコダイル、つまり「腑が小さいクロコ」という意味で、細やかに繊細に並ぶ鱗模様は他のレザー商品にはない知性を感じるものです。
品格を重んじる世界最高峰のメゾンが、ポロサスの生産工場を”独占”しようとするのもよく分かる話です。
そして、世界のトップメゾンたちが競争して奪い合うポロサス、その中でも極上の一枚として扱われるのが『1級』と評価されるものです。この等級は1級から4級まで存在し、業者間の取引(例えば原皮の買付など)の段階から存在しているランク(評価)です。
クロコダイルは本能的に気性が荒くて喧嘩しやすく、また互いに固く鋭利な表皮を持つことから密着状態にしておくだけでも傷がついてしまいます。そういった事態を避けたいこと、そして現在は絶滅危惧種として保護されていることから、市場に出ているクロコダイル革の素体は、ほとんどが養殖で育ったものです。
つまり、喧嘩しないように、密着して傷がつかないように、一頭ごとに囲って丁寧に育てるのです。大きい方が市場価値は高くなりますから、数年に渡って育て上げます。例えば、「ウォッチマット」の場合、通常サイズが30cm×40cmですが、この大きさを『センター取り』できるサイズに育つまでに7~8年を要します。
そんな長い時間を、特に傷が付きやすいお腹の部位に(商品として)致命的な傷を負うことなく、ようやく育った一頭だけに与えられるのが『1級』という評価です。最終的に貴重なポロサスの中でも『1級』の評価を得られるのは、わずか10%程度と言われています。
ポロサスの中でも限られた至高の存在であり、トップメゾンが『ブランドの顔となる本気の商品』で採用するのがこのランクの革となります。
「ウォッチマット」で採用しているのは、この『1級』のポロサスレザーです。これを仕入れることができるのは、日本国内でも屈指の歴史とシェアを持つ輸入商社をグループに持つガウディならではの強みでしょう。
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ガウディのグループ会社である堀内貿易は原皮の輸入商社であり、それを鞣すタンナーとしての側面もあります。
原皮、すなわち「皮」を鞣すことで「革」になりますが、この鞣しを専門に行う業者を「タンナー」と言い、それだけで独立して事業を行っている業者も多い中、仕入れ・鞣し・制作まで一気通貫で行えるところは極めて珍しい存在です。上流から下流までワンストップで経験を蓄積してきた堀内貿易は、タンナーとしても『世界的に見て超一流』です。
事実、具体的には言えませんが、ここを読んでいる諸兄であれば必ず知っているような世界のトップメゾンが現在進行形で買い付けているほどです。
となると品質は言うに及ばずですが、最後に改めて注目したいのは「鞣しにも個性がある」ということです。つまり同じ「皮」を使っても別々のタンナーが手掛けたら全く違う「革」が出来上がる、ということですね。
品質と個性の2つの視点から見た時、大手メゾンが採用するほどの品質は担保されているので、個性の方に注目していただけるといいでしょう。
個性への評価とは、シンプルに言えば『好き嫌い』です。品質が良くてもなんか合わないものってありますよね。
それと同じで、十分な品質が担保されているなら、あとはセンスが合うかどうかです。
つまり、その革を見てため息が出るかどうか。
これに尽きます。ぜひ動画で改めて確かめてみて下さい。